** 野鳥の鳴き声を楽しもう No54 【セミの仲間】 **
報告: 大井 智弘

 はじめに
 8月中旬、近所の公園を散歩しても鳥は少ない。連日の猛暑で疲れているのは我々だけではなく鳥も同じなのか、それとも避暑地へ帰省中か。元気なのは群れているムクドリくらいで、セミを捕まえて飛び去った。そう言えば、7月下旬までいたツミの幼鳥もセミを捕食していた。そこで今回は、鳥たちの栄養源でもある「セミの仲間」の鳴き声を特集した。
 セミの声を聞くだけでも暑苦しいという方はパスしてください(笑)。
 1 ニイニイゼミ(6~8月「チィーーニーー」「チイチイ」「ジイジイ」など)
 松尾芭蕉(1644年~1694年)の紀行文『奥の細道』にある「閑さや岩にしみ入る蝉の声」のこの「蝉の声」とは、いったい何ゼミの声なのか?、かつてはアブラゼミ対ニイニイゼミの声論争まであった。今ではこの句の蝉の声はニイニイゼミだとか。
 【録音1】  2021年7月 さいたま市 25秒
    ウグイス、ホオジロの声も聞こえる

 2 アブラゼミ(7~10月「ジリジリジリ・・・」「ガラガラガラ・・・」)
 もっとも身近なセミで平地から山麓に生息するので見られる場所は人家の庭先から雑木林などと広範囲。夏に鳥の鳴き声を録音していると一番気になってしまうのがこのアブラゼミの鳴き声だ。マンションの非常階段で仰向けになっていることが多く、拾い上げると声を発して飛んでいく。
 【録音2】 2021年8月 さいたま市 33秒
 【録音3】 2021年8月 さいたま市 32秒

 3 ミンミンゼミ(8~9月 「ミーン・ミンミンミンミー・・・」これぞ夏本番と感じられる声)
 誰もが鳴き声一つで聞き分けることができるであろうミンミンゼミ。子ども頃、美しい緑の体をしたミンミンゼミを捕まえて友達に見せびらかすのが楽しみの一つであった。東日本では公園や雑木林、市街地でも見られる、乾燥した環境にも適応している。西日本では山林に生息するとのことだ。
 【録音4】 2020年8月 さいたま市 20秒
    ホオジロの鳴き声と一緒(人の足音、草刈りの音も聞こえるのが残念)
 【録音5】 2021年8月 さいたま市 31秒

 4 クマゼミ(7~9月 「シャアシャアシャア・・・」と勇ましく鳴く)
 近年、真っ黒な国内最大級のセミ「クマゼミ」の生息域が北上を続けているようだ、西日本を中心に生息していたが徐々に北上し、埼玉県、茨城県で生息が確認されている。詳しくは次のサイトをご覧ください。ウエザーニュース「クマゼミが北上中!? クマゼミの北限はどこ?」
  【録音6】  2021年8月 さいたま市 38秒

 5 ヒグラシ(6~9月「カナカナカナカナ、キキキキキキキキッキッキッ」)
 「蝉時雨(せみしぐれ)」という言葉を聞くと思い浮かぶ蝉はアブラゼミ?それともヒグラシ?でしょうか。蝉時雨とは?と『日本の七十二候を楽しむ』(東邦出版)で調べてみると、「たくさんの蝉が一斉に鳴き立て、まるで時雨が降りつけてきたように大音量で鳴り響くこと」とあった。夕方のアブラゼミの大合唱、ヒグラシのどこか寂し気な声の響きどちらも日本の夏の風物詩のようだ。
 【録音7】 2020年8月 さいたま市 28秒
 【録音8】 2023年8月 山梨県北杜市 26秒
    珍しくソロで鳴く声を録音できた

 6 ツクツクボウシ(7~9月「ツクツクホーシッ」「オーシンツクツク」)
 夏の終わりを告げるように鳴きだすのがツクツクボウシ。雑木林や公園などでこのしんみりとした声を聞くと秋の気配が感じられて、子どもの頃、夏休みが終わってしまう悲しさを思い出すのは私だけでしょうか。
 【録音9】 2021年8月 さいたま市 35秒
    ソロで鳴きだしもう一つの個体が鳴く 最後の方でアオサギの声
 【録音10】 2021年8月 さいたま市 32秒
    日の入り前に複数で大合唱

 7 エゾゼミ(7~9月「ギィーーーーー」と重低音で鳴く)
 漢字にすると「蝦夷蝉」。北海道や東北地方では平地で見られるが、本州中部以西では500~1000mといった比較的標高の高いところで見られる。避暑地に出かけてアブラゼミとは違った重低音で震えるような声が聞こえてきたらエゾゼミだ。

 【録音11】 2021年7月 栃木県矢板市 9秒
 【録音12】 2022年8月 福島県裏磐梯 7秒
【参考文献】
 『ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑』 石田光史 著 ナツメ社
 『身近な鳥のすごい食生活』 唐沢孝一 著 イースト新書Q
 『くらべてわかる昆虫』 永幡嘉之(文・写真)・奥山清市(写真) 山と渓谷社

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