| *** 野鳥の鳴き声を楽しもう No33 【芝川第一調節池】 *** 
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            | 報告: 大井 智弘 
 
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            | はじめに | 
          
            | 8月に入り、さいたま市は連日の猛暑日、35度超えが続きさすがに体に応えてきた。朝方くらいしかチャンスはないと思い近所の芝川第一調節池へ向かった。はたしてこの暑い時期に鳥たちはいるのか? 今回は「真夏の芝川第一調節池BW・鳴き声」の報告である。 
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            | 1 芝川第一調節池 | 
          
            | 芝川は埼玉県東部を流れる荒川水系の一級河川で、第一調節池は見沼田んぼの南端に位置しその洪水対策として作られた。芝川第一調節池はJR東浦和駅から程近い位置にあり、徒歩でもアクセスが可能である。冬場は猛禽類、ハクチョウの姿が見られる。またヨシ原には一年を通じて小鳥たちが多くバードウォッチングには絶好の場所で、年間5~6回民家園周辺定例探鳥会が開催されている。 |  | 
          
            | 2 「真夏の芝川第一調節池BW・鳴き声」情報 | 
          
            | 8月上旬、朝6時前に調節池に到着しておひとりさまBWスタート。調節池にはカルガモ、少し数が増えてきたサギ類、そしてツバメは元気に飛び回り、遠くからウグイスのさえずりが聞こえてきた。さらにはここで夏を越しそうなオオバン、巣立ちしたばかりのセキレイル類、コチドリなどが見られた。 観察できた種類は予想以上に多く以下のとおり合計30種の野鳥が見られた。
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                  | 1スズメ、2ツバメ、3ヒヨドリ、4ムクドリ、5キジバト、6ウグイス、7オオヨシキリ、8ホオジロ、9カワウ、10アオサギ、11ダイサギ、12コサギ、13コチドリ、14ハクセキレイ、15セグロセキレイ、16オオバン、17シジュウカラ、18ハシブトガラス、19ハシボソガラス、20イソシギ、21カワセミ、22コムクドリ、23カルガモ、24ドバト、25コジュケイ(声)、26モズ(声)、27セッカ(声)、28コゲラ(声)、29カイツブリ(声)、30カオジロガビチョウ(声) |  | 
          
            | 観察メモ(今回の写真、録音はすべて芝川第一調節池でのものである) ◎オオヨシキリ
 5~7月、あんなに鳴いていたオオヨシキリのさえずり(ギョギョシ ギョギョシ)がさっぱり聞こえてこない。ヨシ原を移動する姿は何羽か確認できた。少し耳を澄ましていると地鳴きが聞こえてきた。
 【録音①】2021年8月 オオヨシキリ 地鳴き
  16秒 「ギィィィ」「ギュッ」と舌打ちしたような声を数回繰り返す
 
 ◎セッカ
 セッカとオオヨシキリは一夫多妻ということでは共通だ。オオヨシキリは黙ったが、セッカのさえずりは減ってきたとはいえまだ聞こえてきた。いつぐらいまでさえずるのか楽しみだ。
 【録音②】2021年5月 セッカ さえずり
  30秒 「ヒッ、ヒッ、ヒッ チャッチャッチャッ」、5月の録音なのでオオヨシキリの声も聞こえる
 
 ◎シジュウカラ
 シジュウカラのさえずりもほとんど聞こえてこない。唯一聞こえてきたのは幼鳥の声。まだ親を呼んでいるかのようでちょっと心配になった
 【録音③】2021年7月 シジュウカラ 幼鳥の声
  26秒 
 ◎ハシボソガラス
 暑くても元気なのはカラス類、この時期は餌となるセミねらいで忙しいのかもしれない。幼鳥の巣立ちも一段落の時期のようだがまだ「フガー、フガー」と鳴く声が聞こえた。
 【録音④】2021年6月 ハシボソガラス 幼鳥の鳴き声
  17秒 
 ◎コジュケイ
 ヨシ原から「ピューア、コココココ」と大きな声が聞こえてきた。録音しているとジョガーまでが足を止めて「何の声ですか?」と聞いてきた。「チョットコイの地鳴き」ですと答えた(笑)。
 【録音⑤】2021年8月 コジュケイ 地鳴き
  30秒 
 ◎カオジロガビチョウ
 7月の渡良瀬遊水地探鳥会でも確認されたカオジロガビチョウの声が聞こえてきた。ついにここにも進出か。私としては芝川第一調節池でのカオジロガビチョウは初認であるが喜んでいいのか微妙。
 【録音⑥】2021年8月 カオジロガビチョウ 地鳴き
  17秒 「チュン、チュン、チューン」などと大きな声で鳴く
 
 
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            | 当日撮れたその他の鳥たち | 
          
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                  | 近くにコチドリの幼鳥 | 見上げたらコムクドリ | 水門にはハクセキレイの幼鳥 |  | 
          
            | 3 真夏の芝川第一調節池での鳴き声の主役は「ホオジロ」! | 
          
            | 多くの鳥たち(特に夏鳥たち)は7月中に鳴きやんでしまうのだが、数羽のホオジロが盛んにさえずっていた。春先の「彼女募集中」「ここはオレの縄張りだ」といった必死のさえずりには程遠いが、まだまだ元気。真夏の芝川第一調節池での鳴き声の主役は「ホオジロ」であった。 |  | 
          
            | 最後に、春からずっとお好みのソングポストでさえずっているホオジロを紹介したい。ホオジロの好むソングポストと言えば写真のように樹木の高い所だが、この個体はいつも第一調節池の残土処理場の作業用機械や切り出されたコンクリート破片の上で鳴いている。この日もさえずっていた。 【動画】2021年8月 ホオジロ  34秒
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            | 【録音⑦】2021年8月 動画のホオジロ さえずり  45秒 
 追記
 BWを終えて自宅で6月中旬に残土処理場で録音したホオジロのさえずり(録音⑧)を聞いてみた。
 【録音⑧】2021年6月 残土処理場で鳴くホオジロのさえずり
  46秒 もしかして、いやどう聞いても今朝の個体(録音⑦)とは鳴き声が違う。録音していたことで「いつも同じ場所で鳴くから同一個体のホオジロ」という私の予想が覆された。
 安易な思い込みは危険だと実感したのであった 。
 
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