*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No21 【ベニマシコ】 ***
報告: 大井 智弘

はじめに
 冬のヨシ原の赤い小鳥といえば「ベニマシコ」。11月頃、冬鳥として樹高の低い林やヨシ原などに渡って来る。よく鳴いてくれるので見つけやすいが、すぐに藪の中に隠れてしまうことが多い。
 姿を見つけて慌ててシャッターを押すと、枯れたセイタカアワダチソウに後ろを向いて乗っかった写真ばかりなのは私だけでしょうか?
 今回は、冬の探鳥会でも常に人気上位にランクインするベニマシコの生態と鳴き声について紹介したい。 

【写真①】2017年4月 さいたま市 オス
1 ベニマシコ(紅猿子)スズメ目アトリ科ベニマシコ属 全長:15cm
 和名の「猿子(ましこ)」とはオスの羽の色がサルの顔のように赤いからとのこと、北海道では繁殖期にイチゴが熟したように赤いオスの夏羽が観察できるらしい。
 冬羽のオスは写真②のように顔から胸にかけて淡いピンク色で、背には写真①のように黒い縦縞、翼には白い線が見られ、尾羽は黒で長く外側が白い。メス(写真③)の体は茶褐色で、背、胸から腹にかけて黒い縦縞があり、オスと同様に翼には白い線がよく目立つ。数羽の群れで活動する姿がよく観察される。
【写真②】2018年3月 さいたま市 オス
【写真③】2019年2月 さいたま市 メス
2 ベニマシコの食性
 ベニマシコは雑食で繁殖期には地上や樹の上で昆虫を捕えて食べるとのことだが、私たちが観察できる秋から冬にかけては、イネ科やタデ科の植物の実をよく食べる。特にセイタカアワダチソウ、ヨモギなどの実や芽を好んで食べる。嘴が小さくて丸いのは、小さな草の実や芽を食べるのに適していると思われる。植物の柔らかい穂先で体を伸ばしたり、ぶら下がったりしながら実を食べる姿がよく見られる。
【写真④】2019年2月 ネコヤナギにメス
【写真⑤】2018年3月 枯れ草の中にオス
3 ベニマシコの鳴き声
 地鳴き:「フィッ フィッ」「ピッ、フイ」「ピッポ、ピッポ」
  継続的にひと声ずつ藪の中や植物の芽や実を食べながらよく通る声で鳴く
【録音】2021年1月 さいたま市  12秒

【動画】2021年1月 群馬県館林市  33秒
    植物の実を食べながら鳴き声も聞かせてくれたオス

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