*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No14 【チョウゲンボウ】 ***
報告: 大井 智弘

はじめに
 写真のように電柱のてっぺんに佇む鳥の後ろ姿を見ただけで猛禽好きのバーダーなら簡単に識別してしまうのだろう。もちろんオスかメスか幼鳥なのかまでも。
猛禽に関して苦手な私にはそんな能力はないが、ラッキーにも鳴き声を録音することができた。今回は、都市部でも繁殖するハヤブサの仲間チョウゲンボウの生態と鳴き声を中心に紹介したい。

【写真①】2019年12月 さいたま市
 1 チョウゲンボウ(長元坊)ハヤブサ目ハヤブサ科ハヤブサ属 全長:オス33cm メス39cm
 農耕地、河川敷、埋め立て地などの開けた場所に生息するハヤブサ類。近年は都市部のビルの排気口や鉄橋などの人工物に営巣する例が増えている。
 狩りをする時、ヒラヒラとホバリング(停空飛翔)をする姿がよく見られ、急降下してネズミ類や小鳥、カエル、昆虫類などを補食する。
 オスの全長はドバト大だが尾が長いのでドバトよりも大きく感じられる。メスの方がオスよりも一回り大きい。また、オスは頭と尾羽が青灰色で背面は赤味のある褐色で黒斑がある。メスの頭部はオスとは異なり赤味のある褐色である。幼鳥はメスとよく似ているが、体下面の斑が太めの縦斑が見られる。
 雌雄とも嘴とアイリングは黄色で、ハヤブサと同様に目の下に黒い帯が縦に走っている。脚は黄色い。
【動画】2019年12月 さいたま市 「河川敷でホバリングしながら獲物を探す」 26秒
2 チョウゲンボウの鳴き声
◎ 鳴き声の特徴
甲高い声で「キィーキィーキィー」、「キャキャキャ」、「キュリリーキュリリーキュリリー」などと鳴く。ハヤブサの鳴き声と似ているが、ハヤブサの方が濁った大きな声で鳴くようだ。
【録音①】 2019年10月 さいたま市  10秒
  【写真②③】 2019年12月 さいたま市 「メスなのか幼鳥なのか私には識別できない」
3 カラス類にモビングされるチョウゲンボウ
 オオタカなどの猛禽類が上空を飛んでいると、カラス類がどこから集まってきたのかというように集団で追いかけて追い払う行動が見られる。よくモビング(疑似攻撃・擬攻撃)と言われている行動だ。漢字で表すとよくわかるのだが、この行動は本当の攻撃ではなくて嫌がらせをして追い払うのが目的のようだ。
 2019年10月、ひとりで自転車に乗って探鳥をしていると、チョウゲンボウの鳴き声が聞こえて来た。双眼鏡で確認しながら近づくと1羽のチョウゲンボウにカラス類(たぶんハシボソガラス)がモビングしてきた。高い鉄塔を結ぶ電線に逃げるように向かうチョウゲンボウを集団で追い詰めていくカラスたち。そんな様子を見ていると、もう1羽のチョウゲンボウが現れた(つがいかもしれない)。こんな時、カメラ好きの方ならシャッターを切るのだろうが、私はそんな場面で録音機のボタンを押した。
 風の音、軽トラなどの雑音入りだがどうにか録音することができたので聞いてもらいたい。
【録音②】2019年10月 さいたま市
「カラス類にモビングされる2羽のチョウゲンボウ」  45秒

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