*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No1 【マガン】 ***
報告: 大井 智弘

1 マガン(真雁) カモ目カモ科マガン属  全長 72cm
  マガンは国の天然記念物で冬鳥として主に東北地方や日本海側の湖沼などに渡来する。 特徴は、雌雄同色で額と嘴の付け根が白い。体上面には淡色羽縁が見られる。2018年1月の環境省の全国ガンカモ一斉調査によると国内の越冬数のうち96%が宮城県で記録され、伊豆沼・蕪栗沼周辺は日本最大の越冬地となっている。昼間は水田で採食し、夜は浅い沼で眠る。
2019年の飛来状況は下記の資料のとおり。
(資料1)2019年12月20日現在
「伊豆沼・内沼」渡り鳥飛来状況(宮城県伊豆沼・内沼サンクチャリーセンター発表)

ガン類   97,126羽
ハクチョウ類  1,602羽
 カモ類  1,480羽
 合計  100,208羽

(資料2)2019年12月19日現在
「蕪栗沼」渡り鳥飛来状況(特定非営利活動法人 蕪栗ぬまっこくらぶ発表)

マガン 約76,000羽
オオヒシクイ 2,054羽
シジュウカラガン 896羽
ハクチョウ類 133羽
 カモ類 592羽
 その他 : ハクガン幼鳥1羽、トモエガモ、ハイタカ、ヘラサギを確認 
2 「鴻雁北へかえる」
 四月と言うと春、桜、新学期と明るく心が躍る時期を連想する。
 「二十四節気(にじゅうしせっき)」ではこの時期を「清明」と呼び、すべてのものが清らかで生き生きして花が咲き、鳥が歌い舞う季節である。
 もう少し細かく気象の動きや花や鳥、草木の変化を短文で知らせる「七十二候(しちじゅうにこう)」では、新暦の4月9日~13日頃を「鴻雁北へかえる」と表している。簡単に言えば「冬鳥の雁が北へ帰って行く頃」という意味である。
 いま関東地方に住む私達にとってガンが北へ帰ると言われても春の季節を感じることはできないが、ガン類は江戸、明治、大正、昭和時代の太平洋戦争後くらいまでは東京でも見られていたとのことで、この時期に北へ向かう隊列を組んで飛行する「雁行」は春の季節を告げる風物詩だったのであろう。
3 「残したい“日本の音風景100選”」
 環境省は全国で残しておきたい音風景を選定している。その中で伊豆沼・内沼(宮城県:栗原市・登米市)のマガンが一斉に飛び立つ時の羽音と鳴き声が選ばれている。
 録音:2019年12月22日 伊豆沼にて 数万羽のマガンの群れが沼に戻って来た時
  49秒
参考資料
 『野鳥を友に』 高野伸二 著 朝日文庫 1989年
 『大江戸花鳥風月名所めぐり』 松田道生 著 平凡社新書 2003年
 『日本の七十二候を楽しむ』 文:白井明大 絵:有賀一広 2012年

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