*** コロナが落ち着いたら行きたい魅惑の探鳥地 ***

小笠原・硫黄島クルーズ編 第2話(遠征時期2019.7.2~7.7)
文・写真:廣田純平
 新型コロナウイルスの終息が見通せず、不安な日々が続いているなかですが「きっと来年は!落ち着いたらあそこに行こう!」と皆様に夢と希望を持たせられることを期待するこの企画。第二弾の小笠原・硫黄島クルーズの第2話です。旅の期間が長いので複数回に渡ることをご了承ください 笑

【3日目】
 たくさんのバードウォッチャーがいるため、朝の起床時間は3時。デッキに入る順番待ちのため、デッキが開く5時まで待ち時間です。外へ出てさっそく観察を始めると、シロハラ・セグロ・オナガのミズナギドリが昨日と比べてかなりの数。次から次へミズナギドリが飛んできます。残念ながらオガサワラヒメミズナギドリは見つけられませんでした。明るくなりはじめると、船にカツオドリ・アカアシカツオドリが多数ついてきます。アカアシカツオドリは複数いました。船首を見ると遥か彼方に南硫黄島が見えます。カツオドリたちと一緒に南硫黄島を目指します。


 船上からのご来光

彼方に見える南硫黄島
上空にはカツオドリたち

まだ島が遠くに見える時に南硫黄島を双眼鏡で覗いていると、島の山肌で白い点がうごめいています。ゆっくりとふわふわと動く白い点。きっとネッタイチョウ!と心が躍りました。期待に胸を躍らせながら島に近づいていくと、たくさんのアカオネッタイチョウが!天気も最高に晴れなうえ、普段はなかなか見られないという南硫黄島の山頂も見ることができました。アカオネッタイチョウウは、船の上を旋回したり、近くを飛んでくれたりと大サービスでした。図鑑で見て「いつか見てみたい」と思っていた憧れの鳥がこんな近くにと感激でした。島の山肌を見ていると、アカオネッタイチョウとは違う飛び方の白い鳥がいると気づき、見てみるとなんとシロアジサシ!しかもたくさん飛んでいる~!やば~!!けれど小さいし遠くて写真にならんなと思っていると、3羽のシロアジサシが船に近づいてきてくれました。この時の興奮はすごかったです。珍しいものが来たな~と見に来たように、少し船と並走して、また島へ戻っていきました。島を2周して次の硫黄島へという行程でしたが、あっという間すぎて何周してくれもいい感じでした。

南硫黄島  アカオネッタイチョウ 
アカアシカツオドリとカツオドリ シロアジサシ

南硫黄島から硫黄島に行く途中では、クロウミツバメ、セグロアジサシ、クロアジサシ、シロハラミズナギドリ、など多数の海鳥を見ることができました。
クロウミツバメ セグロアジサシ
シロハラミズナギドリ クロアジサシ

次に見えてくる硫黄島は南硫黄島のような山のような形とは違い、なだらかな部分がほとんどで、島の南西にひときわ目立つ「摺鉢山」があります。ご存じの方も多いと思いますが、硫黄島は太平洋戦争の激戦地となりました。太平洋戦争の様子を描いた「硫黄島からの手紙」は過去にも見ていましたが、硫黄島クルーズに行く数日前にも見てからツアーに参加しました。現在は海上自衛隊と航空自衛隊の基地が置かれています。島の周りを回ると、名前のとおり硫黄の臭いがかなりします。鳥はというと、南硫黄島でも見られたシロアジサシが少数、そして島の岩礁帯ではクロアジサシを中心にものすごいコロニーになっていました。ヒメクロアジサシもいたそうですが、私は確認できませんでした。船内放送で島の各地の説明や、戦争の時の話を流してくれるため学べる機会でもありました。島を離れる時には船の乗客全員で、戦没者へ向けて献花をして島を後にしました。今の時代に鳥を楽しむ目的でこの島に来られるのは、硫黄島をはじめとした激戦地で、命を捧げてまで戦ってくれた方々のおかげでなんだなと考えさせられました。

硫黄島と摺鉢山 摺鉢山
吹き出す硫黄の煙 アジサシたちのコロニー
クロアジサシ・セグロアジサシ 戦没者へ向け、献花そして黙祷

続いて向かうのは北硫黄島。硫黄島から北硫黄島までの間では、カツオドリとアカアシカツオドリがずっと船についてきてくれました。北硫黄島は南硫黄島のように山のような形です。ここで期待するのはシラオネッタイチョウ。山肌を見ているとたくさんのアカオは飛んでいますが、シラオはなかなか見当たりません。(なんて贅沢な…)ですが、島2周のうち1周目が終わりかけた時、島のかなり高いところを飛ぶシラオネッタイチョウを発見!見た目は似ていますが、尾の色が名前のとおり白いためすぐにわかりました。島の山肌を見ていると白い点がたくさんありましたが、よく見るとアカアシカツオドリのコロニーのようでした。2周目はもっと近くでシラオネッタイチョウを見たい!と期待していると、気持ちを察したかのように船の上を旋回してくれました!大興奮!
驚きと大興奮の硫黄3島クルーズもこれで終わり。父島へ向かいます。書いているうちに、色々思い出してまた行きたくなってきました…。
北硫黄島 白い点はアカアシカツオドリたち
シラオネッタイチョウ 船についてくるアカアシカツオドリ

北硫黄島から父島へ向かう間も、アカアシカツオドリ、カツオドリがずっと見られていました。屋上デッキに出て見ていると、立ち入り禁止エリアになにやら動くものが…? なんとアカアシカツオドリの若鳥が船に降りていました。いったいどこから乗っていたの?もしかしてそこを飛んでいる成鳥は親?どういうこと?と混乱しました。なんだかうまく飛べる感じがしないので、船員さんに報告すると、このままいると父島まで連れていくことになるので、ここで捕まえて放すということになりました。段ボールを使って、いとも簡単につかまり、船の最後尾から放鳥。やればできるじゃん!という感じでちゃんと飛んでいきました。無事を祈ります。

アカアシカツオドリの若鳥が船に! モコモコで可愛い
アカアシカツオドリ アカアシカツオドリ

一番のお目当てだった3日目の硫黄3島クルーズが終了。見たかった鳥たちにたくさん会えて、興奮と驚きの連続で大満足でした。4日目は丸一日フリータイムとなるため母島に向かいます。この続きは第3話で~!

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