*** 探鳥会風景 ***

07/23-24/‘22 長野県・軽井沢発地~池の平湿原探鳥会
報告:浅見 徹
 2020年の7月に計画していて、コロナで中止になったこの探鳥会。今年も第7波の影に怯えながらも、何とか実施できました。終了後、2週間以上が過ぎて、参加者の中からコロナ感染者が出たという情報もなくほっと一安心でこの報告を書きました。
 猛暑の埼玉を離れ、高原の爽やかな夏を楽しんで来ました。最初の探鳥地は、軽井沢の発地。キャベツ畑や草原の広がるのどかな場所です。空気が澄んでいて、陽射しは強いのですが爽やか! さえずりを頼りに農耕地の柵を探すと、ホオアカがいました。分かるかな? 2段目のひもの上です。上空に大型の猛禽が現れました。トビではないようです。「ハチクマ!」の声に、大騒ぎに。私たちの上で旋回してくれて、じっくり観察することができました。
 畑の土塊の上に、ノビタキのオスが止まっていました。この時季、もうノビタキは全くさえずってくれません。見つけた人に感謝。一直線の農道の先に浅間山。草原からはコヨシキリのさえずりが聞こえてきます。ホオアカはあちこちでさえずる姿を見せてくれて、ハチクマも再び上空を旋回。この近くで繁殖しているのでしょう。1時間半ほどの探鳥の後、発地市庭の草原で持参の弁当で昼食。
 次に訪れたのは湯の丸高原。ビジターセンターでトイレ休憩と情報収集。高原の草花や高原蝶のパンフレットが揃っています。ここから徒歩で近くの臼窪湿原に向かいました。この湿原、花好きと昆虫好きにはたまらない場所でした。宿は、嬬恋鹿沢休暇村。天然温泉につかり、豪華な食事を楽しんで、夜は星空観望会。星がたくさん見え過ぎて見慣れた星座を探すのに戸惑うほど。流れ星も何度も天空を横切りました。
 翌24日、5時半から宿に隣接した散策路「かえでの小径」で早朝探鳥。幾筋も流れる沢からはミソサザイのさえずり声が数カ所から聞こえてきますが、姿が見えません。少し欲求不満で宿に向かう吊り橋を渡るころから、周りが急に騒がしくなりました。小径の左右の木々の枝間を、何羽もの小鳥が移動していきます。双眼鏡でやっと捉えても空抜けのシルエット。クリっとした丸い目からヒタキの仲間だと感じましたが色合いが分からず種類を特定できません。中にはフワフワの綿毛が残った巣立ち雛も混じっていたようです。そんな時、小径の手摺り、順光の位置に1羽が止まりました。双眼鏡を向けると、「エッ!」ジョウビタキの雌ではないですか。飛び去った先の藪に目を向けると何と綺麗な雄の姿も。巣立ち雛のような個体も混ざっているようです。話には聞いていましたが、国内でのジョウビタキの繁殖現場に出くわして、大興奮でした。雄は、見慣れた冬の姿よりも一層色鮮やかに見えたのは、私だけでしょうか。
 朝食を済ませて、今回のメイン探鳥地である池の平湿原に向かいました。池の平インフォメーションセンターの駐車場でバスを降り、湿原を取り囲む外輪山を反時計回りでほぼ一周します。カラマツの天辺付近の見やすい場所でビンズイがさえずっています。小さな上り下りを繰り返す山道です。スタートのインフォメーションセンターが標高2,061mで、村界の丘(2,113m)、雷の丘(2,108m)、雲上の丘(2,110m)とピークを越えて、三方ヶ峰の手前のショートカットの道から湿原の鏡池に下りました。足元にはハクサンフウロ、カラマツソウ、ノアザミなどの花が咲き乱れ、その上をアサギマダラなどの蝶が舞い、ルリビタキ、メボソムシクイなど平地では聞くことのできない小鳥のさえずり声がひっきりなしに聞こえてきました。ルリビタキはさえずる姿を見ることもできました。
湿原の景色と花と蝶を楽しんだ後、放開口から再び山道に入り東歩道を経てインフォメーションセンターに戻りました。林内のベンチに離ればなれに座って昼食(おにぎり弁当)を取った後、カラマツの天辺で囀るビンズイに見送られて帰途につきました。
 コロナ感染第7波の中での不安を抱えながらの遠出探鳥会でしたが、感染防止に努めて無事に乗り切ることができたようです。まずは目出度し目出度し。一日も早く、心おきなく探鳥会ができる日が来ますように。

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