*** 探鳥会風景 ***

10/23-24/'21 長野県・戸隠高原探鳥会
報告: 菱沼 一充

 残念ながら春の探鳥会は開催できませんでしたが、コロナ第5波の感染拡大により他の探鳥会が相次いで中止になる中、急激に感染が収まり運よく1年ぶりに開催することができました。参加者はリーダーを含めて15名でしたが、参加当日は皆さんの体調も良く、久しぶりの宿泊探鳥会に喜んでいただきました。

1日目
 天気予報では長野は晴れでしたが、山沿いは雨とのことでした。予報通り上田あたりで雲が広がり始めました。長野市内はそれでも薄日が射していましたが、バスで高度を上げるにつれ、天気が悪くなっていきました。移動の途中、大座法師池を見るとたくさんのカモが浮かんでいます。バスを止めていただき、大座法師池を観察しました。飯綱での探鳥は十数年ぶりのことです。ここでは、ヒドリガモ、ヨシガモ、マガモ、カルガモ、オオバンが観察できました。
 植物園入口では小雨模様となり、雨具をつけての観察となりました。森のまなびやのモミジやカツラは全く色づいておらず、大分紅葉は遅れているようです。みどりヶ池のカイツブリは今年も元気な姿を見せてくれました。マユミとニシキギの違いをよく観察したあと、奥社の鳥居の方へ移動しました。
 入口広場では数人のウォチャーがいました。話を聞くとヤマガラがイチイの実を食べに来ているようです。ひっきりなしに行き来して実を運んでいきます。また、トイレの周りをミソサザイが出入りしています。
ライブカメラで鳥居のツルマサキのところにカメラマンが集まっているのを確認していましたので、ムギマキ状況を確認しに行ったところ今日は出ていないとのことでした。鳥居のところで待っていても、後続がやってきません。途中で立ち止まって何か観察しています。ツルマサキにムギマキがいるとのことです。とりあえず、全員がムギマキを見られてほっとしました。林床にはカシラダカ、どこからかジョウビタキの声も聞こえてきました。
昼食は鏡池での予定でしたが、天気が悪いので旅館の大広間でいただくことにして、植物園を後にしました。武井旅館さんは創業二百三十年というお宿、食事を取った大広間は築300年の重厚な造りの茅葺屋根の建物です。欄間に日本画がはめ込んであり、題材は野鳥で尾の長い鳥が描かれていますが、オナガではなく日本の鳥ではないようです。宿から暖かい味噌汁をいただき、冷えた体も温まりました。
 午後から天気も少し回復するとのことでしたが予報が変り、一度上がった雨も降りだしました。午前中にムギマキを観察できたため、皆さん余裕をもって午後の観察に臨みました。朝と同じ道を通って入口広場に向かいました。相変わらず、ヤマガラは忙しそうにイチイの実をせっせと運んでいましたが、ムギマキの姿はありませんでした。
 植物園内の木道は、老朽化が進んだため補修中です。例年、ムギマキを観察しているツルマサキの近くまで行くことができません。小川の小径への分岐点で数人のウオッチャーがいましたが見られていないようです。モミの木園地まで小川の小径、水芭蕉の小径のコースを進みます。みぞれ混じりの雨のため鳥影は少なく、ヒガラやエナガ程度しか観察できませんでした。水芭蕉園の休憩場所は撤去されていました。新しく作られた木道は曲線状に敷設されていましたが、天板が平らでなく傾斜が付いているので、バリアフリーいう感じではありませんでした。
 モミの木園地で休憩後、東屋から外周の小径へ向かいます。途中の木道は穴が開いているので、足元に注意して通行しました。隋神門付近のイチイの木でもヤマガラが盛んに実を取ってはどこかに運んでいます。梢の高いところで、ツグミらしき鳥が飛んでいますが、どううやらアカハラみたいです。カケスも元気に飛び回っています。途中、何回か薄日が射すこともありましたが、天候が悪くて鳥はあまり観察できませんでしたが、最後にマミチャジナイを見ることができました。木々の間から垣間見る戸隠山はうっすらと雪化粧をしていました。帰路は久しぶりに参道を通って戻りました。

2日目
 昨年と同様に2日目は好天に恵まれ、朝食前に宿周辺の探鳥を行いました。戸隠山は昨日雪が降ったので、真っ白な姿です。30年近く、戸隠探鳥会を行っていますが雪化粧の戸隠を見るのは初めてのことです。宿周辺では植物園では見られない、ハシボソガラス、スズメが観察できました。トビが低いところを飛んで、餌を探しています。梢ではホオジロが囀ずり、遠くからキジの鳴き声が聞こえてきました。宝光社への上り坂では、何人かの方がアオバトを観察できましたが、残念ながら私は見ることができませんでした。宝光社をお参りしたあと、眼下を見ると今年もまた雲海が広がっているのが見えました。
 朝食後に昨日行けなかった鏡池までバスで送っていただきました。鏡池の駐車場は天気が良いためかかなり混んでいました。この時間には戸隠山の雪はほとんど消えてしまいました。今年は紅葉が遅く、全く色づいていませんでした。オシドリを探すと、今年もいてくれました。その他、ヒドリガモ、ホシハジロ、オオバンが見られました。集合写真を撮った後、隋神門へ向かいました。
 鏡池と新明稲荷の間のツルマサキにムギマキがいました。残念ながら観察できたのは数名でした。結局、この日はこれ以外の場所ではムギマキは見られませんでした。新明稲荷のモミジも全く色づいておらず、がっかりしました。隋神門からささやきの小径に少し入った所(昨日マミチャジナイを見た場所)で、ツグミ大の小鳥を発見。やっぱり、マミチャジナイです。今度は天気も良く、かなり長い間じっとしていたので写真もばっちりです。本日、最大の収穫です。
 隋神門から、モミの木園地、水芭蕉園の小径、小川の道経由で入口広場へ向かいます。途中アオゲラ、ゴジュウカラ、カラ類、カケス等を観察しながら進みました。小川の小径ではアカゲラ、キバシリが見られました。キバシリはなかなか見つけることができませんので、参加者の中にはライファーの方もいらしたようです。
 参道入口から最後の探鳥場所である戸隠キャンプ場へバスで移動しました。ここで、お弁当を食べた後、1時間ほどキャップ場内を探鳥しましたが、鳥影が少なく、全くの収穫がありませんでした。素晴らしい景色の中をゆったりと散策しながら、楽しかった戸隠探鳥会を振り返り、来年の春も開催できることを願いました。