*** 探鳥会風景 ***

10/17-18/'20 長野県・戸隠高原探鳥会
報告: 菱沼 一充

 秋の戸隠探鳥会は、昨年は台風による新幹線の被害、今年は新型コロナというパンデミックにより開催が危ぶまれました。5月の戸隠探鳥会の募集は3月に募集原稿を作成しますが、その時は未知のウイルスであり、治療方法も手探りという事態で感染の拡大期にありました。そのため、野鳥の会埼玉ではすべての探鳥会を中止するという決定をし、5月の戸隠探鳥会も中止となりました。その後、探鳥会におけるコロナ対策マニュアルの設定や幹事による模擬探鳥会など実施しました。皆様の助言等を参考にして、当探鳥会の参加者募集をしらこばと9月号にて行い、最終的な開催の判断は10月初旬に行いました。探鳥会はすべて予約制で開催するという考えから、当初から予約探鳥会であった当探鳥会がコロナ後の初めての探鳥会となりました。

1日目
 参加者はリーダー4名を含めて11名。事前に日々の体温測定をお願いし、体調不良や発熱があった場合は、探鳥会当日でもキャンセルしても結構と連絡していましたが、全員が元気な姿で集合されました。お約束の手の消毒と体温測定を行い、体調不良の方はいらっしゃいませんでした。
 天気は小雨で屋外での食事ができないため鏡池での昼食を取りやめ、午前中は宿周辺の探鳥、宿の大広間を借りての昼食に変更しました。今回宿泊する武井旅館さんは創業二百三十年というお宿、食事を取った大広間は築300年の重厚な造りの茅葺屋根の建物です。
 宿周辺は傘をさしての探鳥となりました。稲は黄金色にですが、周辺の山々は霧に包まれています。去年よりも10日ほど時期が早いため紅葉もこれからのようです。小鳥の姿は少なく。ハシボソガラス、ハシブトガラス、キジバト程度。上空に小鳥が飛びましたが、シルエットで判明しませんでした。どこからかアオゲラの声がしますが、見つかりません。カケスだけは雨の中、元気に飛び回っていました。ヤマガラはイチイの実がお気に入りのようです。
 昼食後、バスで森林植物園へ送っていただきました。雨がやんで傘は差さずに済みそうです。入口のトイレ前でコース説明をしましたが、木道が老朽化のため一部撤去されており、歩けるコースがかなり限定されます。
 森の学び舎前のカツラの香ばしい落ち葉を踏みしめて歩きます。向かいのナナカマドにアカハラを見つけました。付近にはマミチャジナイもいるようです(後で考えると、この時粘れば良かったのですが)。みどりヶ池にカイツブリがぽつんと浮かんでいました。みどりヶ池から高台園地を経て小川の小径へ向かいます。途中、カラ類の声はしますが、あまり姿を見せてくれません。途中のクマノミズキには実もなく鳥影もバードウオッチャーの姿もありませんでした。
 高台園地から下ると水芭蕉の小径の木道は撤去されて杭のみが残った状態でした。小川の小径の木道を進みますが、カラ類のみでした。入口広場からの木道との合流点付近のツルマサキには例年ムギマキが見られますが、今日は姿がありません。明日に期待して隋神門へと向かいます。
 隋神門付近のイチイの木でコガラが盛んに実を取ってはどこかに運んでいます。いつもの場所ではゴジュウカラやコゲラをじっくり観察できました。昼食後の探鳥となったため、ここらで時間切れ、参道経由で戻りました。

2日目
 2日目は好天に恵まれました。朝食前、6時に玄関前に集合して宿周辺の探鳥です。長野の街は雲海の下、後立山連峰の唐松岳、五竜岳、鹿島槍の峰々がくっきりと見えました。戸隠山も朝日に輝いています。天気が良いため今日はホオジロやイカルが囀り、モズの高なきも聞こえてきます。昨日、種が分からなかった小鳥はビンズイでした。ムギマキが見れますようにと宝光社を参拝しました。
 朝食後、天気が良いので昨日行けなかった鏡池へバスで送っていただきました。どんぐりハウスで野鳥の写真展を開催しており、探鳥前にお邪魔しました。鏡池へは何回も訪れていますが、初めて鏡のように波一つない水面に戸隠山が映る姿を見ることができました。鏡池では常連のオシドリとヒドリガモ、カワウが観察できました。毎回鏡池をバックに集合写真を撮影していますが、今回は各自、距離を取っての閑散写真?となりました。
 鏡池から隋神門へ向かいますが、途中はカラ類、ゴジュウカラ程度、時々カケスが姿を見せてくれます。浅見リーダーがオオアカゲラを見つけてくれたような気がします(私は見損ないました)。隋神門から参道を見ると天気が良いためか昨日よりも人出がありますが、例年よりは少なく感じられます。ひと休みしてから、ささやきのこみちを少し先まで行ってみます。この付近はツルマサキが何本かありますが、いたのはコガラとコゲラ。その奥の梢をツグミが飛び回っていました。誰かが頭上の梢で動く鳥影を見つけましたが、一瞬で姿を消してしまい種類が分かりません。運よく、近藤リーダーが写真に撮りましたので画面を拡大して明るさを補正すると、オオルリの雄の若でした。
 隋神門から、昨日のコースとは逆に小川の小径の木道の合流点まで戻ります。数人のバードウオッチャーがツルマサキを観察していて、ムギマキがいますよと教えていただきました。若い雄(メスタイプ)と成鳥雄2羽がいたようです。ここでは、人も少なくムギマキを十分堪能できました。入口広場でトイレ休憩後、迎えのバスの待ち合わせ場所まで移動しました。奥社鳥居のツルマサキには数十名のバードウオッチャーとカメラマン。皆さんここにいらしたのですね。
 探鳥の最後の観察場所の戸隠キャンプ場でお弁当の後、キャンプ場内を一周しました。キャンプ場内には、数本のツルマサキがありムギマキやマミチャジナイに出会う可能性が高い場所です。歩き始めて、すぐに知り合いに遭遇しましたが、このツルマサキにムギマキが来ますよとのことでしたが、とりあえずキャンプ場を1周しますと別れました。その後、他のツルマサキでムギマキ、エゾビタキがいるのを見つけることができました。最後にアトリを見つけられたところで、フィナーレ。とうとう、最後までマミチャジナイに会えませんでした(泣き)。
探鳥会を終えて
 楽しかった探鳥会から2週間がたちました。感染の可能性が全くないわけではないので、日曜日まで何となく落ち着きませんでしたが、何事もなく本当の意味で今回の戸隠探鳥会が無事に終了することができました。募集時には全く考えていませんでしたが、GO TOトラベルも適用され当初費用よりもかなり安く済ませることができました。また、地域共通クーポンもいただくことができて、皆さんお土産購入に充てたようです。最後に、助言をいただいた幹事の皆さん、感染対策を含め色々便宜を図っていただいた武井旅館さんへ感謝いたします。

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