*** 探鳥会風景 ***

9/15/'19 さいたま市・三室地区定例探鳥会
報告: 大井 智弘

 探鳥会当日の早朝は秋の気配が感じられましたが、日差しが強くなるとまだまだ厳しい残暑の中、51名の参加者にお集まりいただきました。毎月第三日曜日に欠かさず開催している三室地区定例探鳥会の根強いファンがたくさんいることを再確認し、また探鳥会に初参加の方も数名いらして、バードウォッチングファンの裾野の広がりを感じることがでました。
 開会の挨拶が終わり、9時15分にスタート。日陰の多い見沼代用水西縁に沿って歩き始めました。さっそく出迎えてくれたのはモズ。この時期モズは盛んに「ギュンギュン、キーキー、キチキチキチ」と高鳴き()と呼ばれる「なわばり宣言」をしますので、その鳴き声を頼りにして見つけやすくなります。さっそく参加者の間では、双眼鏡を覗きながらオス?メス?と識別の会話が始まりました。
しばらくすると、三室地区探鳥会ではあまり観察できないオナガの群れ20羽以上がムクドリの群れと一緒に入って来ました。オナガの群れの中には若鳥もいたようでその様子も観察できました。さらに、民家の屋根のアンテナにはハトらしき姿を発見、しかし、民家へ双眼鏡や望遠鏡を向けないようにとの注意がリーダーから飛ぶと、すかさず「デーデーポッポ」とさえずりが聞こえてきてキジバトと判明しました。
 参加者の方から「猛禽が飛んでいる」との一声、1羽の猛禽類に2羽のカラスがモビング(擬攻撃)を仕掛けています。さてその猛禽類はオオタカ?ハイタカ?と知恵を出し合いましたが、かなり遠くを飛んでいたため判定できませんでした。その後、小鳥を捕獲したオオタカを見つけたカラスが、続々と高木に集合してきて監視体制。これこそ「THE嫌がらせ」という感じでした。
 そしてリーダーから「電線で口を開けているカラス(右の写真)はさてどちらでしょう?」との問が発せられると、ハシボソガラス?ハシブトガラス?とまたまた会話が弾み、その直後に頭を大きく上下させながら「ガーガー」と濁った声で鳴いてくれたことでハシボソガラスと識別されました。姿形だけでなくしぐさや鳴き声等に注目することの大切さがわかりました。下の参考資料で、ハシボソガラスとハシブトガラスの鳴き声の違いを確認してください。
ハシボソガラス  ハシブトガラス  
 少し日差しが弱くなり芝川の土手に歩みを進めましたが、すでに渡って来ているはずのコガモは見つからず、期待のカワセミも鳴き声だけ、そこへ水面を滑るように飛んできたカワウが登場して橋の上で得意の翼を広げてのポーズ。リーダーから「このポーズは、カワウの羽はカモ類と違って水をあまり弾かないので潜水した後に翼を広げて乾かしている行動です」との説明があり、また一つ知識が増えました。
 見沼代用水西縁の日陰で休憩をしていると、最後尾の方から参加者の子どもたちの暑さに負けない元気な声が聞こえてきました。「今日は鳥の羽マイスターは来ていないの?」「猛禽見ました、サシバですか?」との声。大人顔負けの知識も披露してくれました。将来の「日本野鳥の会埼玉」を背負っていってもらいたいと思いました。

 さてここからは見沼代用水西縁沿いを通っての帰り道。シジュウカラのさえずりやヒヨドリ、ムクドリ、オナガを観察できました。途中、実りの秋ということで、クルミの実、栗の実を観察、またサルスベリ、葛の花などの草花を観賞しながら11時30分に戻ってきました。
 いつものように探鳥会終了時の鳥合わせでは、9月という野鳥の少ない時期にもかかわらず18種類がカウントされました。参加者の皆さんがこの暑さの中で一人も体調を崩されずに完歩できたことでまずは大成功。初秋の探鳥会をじゅうぶんに楽しむことができました。(写真:栗の実)

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