*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No17 【カケス・オナガ】 ***
報告: 大井 智弘

はじめに
 探鳥会に通い始めたころ、「カケスとオナガはカラスの仲間だよ」と教えていただいた。まだハシボソガラスとハシブトガラスの識別もできなかった頃だ。もちろんカラスと言ったらみんな真っ黒だと思っていた。しかし、オナガの「ギューイ」、カケスの「ジェーイ」という声を聞くと、なるほどカラスの仲間なのかと妙に納得したことをよく覚えている。今回は「カラスの仲間」だが真っ黒ではないオナガとカケスの鳴き声と生態を紹介したい。
【写真①】2017年7月さいたま市 オナガ
1 カラスの仲間とは
 いわゆるカラスという名の動物はいない。ハシブトガラス、ハシボソガラスなどを総称してカラスと呼んでいる。正しく言えばカラスとは「スズメ目カラス科」の総称なのである。さらにカラス科に属するものがすべて真っ黒かというとそんなことは無くて、白黒のものもいれば、翼と尾羽が青灰色のオナガもいるし、赤味のある褐色で翼の青い羽が印象的なカケスもカラス科に属している。分類すれば、オナガはカラス科オナガ属であるし、カケスはカラス科カケス属に属する。いわゆるカラスとオナガ、カケスは進化的には近いところに位置しているということである。

2 カケス(懸巣) スズメ目カラス科カケス属 全長:33cm
 カケスは留鳥または漂鳥として屋久島より北の山地に生息しているが、秋冬になると暖地へ移動してくる個体がいるため校外の樹林でも観察される。騒がしい鳴き声とフワフワした飛び方が特徴的で識別もしやすい。ドングリが大好物で秋に地中に貯食して冬には掘り出して食べることが知られている。
 英名は「Eurasian Jay」で「ジェーイ」という鳴き声が名前に反映されている。よくオオタカやツミ、サシバなどの鳴きまねをする、時には猫の声を真似ることもある。
 鳴き声:「ジェーイ」「ジャー、ジャー」などと鳴く 

【写真②】2019年5月 中津川渓谷
(撮影者:浅見徹)
【鳴き声①】2020年10月 さいたま市  15秒
【鳴き声②】2019年11月 長野県戸隠  35秒

 下の2枚の写真は、北海道に生息するカケスの亜種ミヤマカケス。頭部が橙色で黒い縦斑がみられ、虹彩は暗褐色である。
【写真③④】2018年3月 根室市 宿の餌台にやってきたミヤマカケス
3 オナガ(尾長) スズメ目カラス科オナガ属 全長:37cm
 オナガは市街地の民家周辺でもよく観察され、体型はスマートで頭はベレー帽をかぶったように黒い。名前のとおり青灰色の尾が長く、尾羽の先端は白い。常に10羽から30羽前後ぐらいの群れで移動する。移動時には必ずと言っていいほど一斉に大きな声で鳴くので見つけやすい。東日本では留鳥として普通に生息しているが、関西から西では見られない。
 猛禽類(特にツミ)の巣の近くに営巣する事がある。ツミが近くにいることでハシブトガラスなどの天敵が寄ってこないというメリットがあるためとのことだ。
【鳴き声③】2019年10月 さいたま市 「ゲーイ、ゲーイクェクェクェ」  14秒
【鳴き声④】2019年10月 さいたま市  60秒
  オナガ、ヒヨドリ、ハシブトガラスによるすさまじい鳴き声、締めはオナガの雄叫び。
【写真⑤⑥】2020年11月 さいたま市
【動画】 水場にやってきたオナガ。1羽だと静かだった(笑)。 26秒

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