*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No2 【ウグイス】 ***
報告: 大井 智弘

1 ウグイス(鶯) スズメ目ウグイス科ウグイス属
  
全長:オス16cm メス14cm

ウグイスは、「ホーホケキョ」というさえずりを聞くともう春だなと感じられることから「春告鳥」とも呼ばれることがある。早ければ2月の暖かい日に「ケキョ」とか「ホヶキョ」とか鳴くことがあるが「ホーホケキョ」とちゃんと鳴いた時を「初鳴き」「初囀(しょてん)」とすることが多い。
皆さんは2020年の「初鳴き」を確認した日はいつでしたか?私は、2月29日に芝川第一調節池でちゃんとした「ホーホケキョ」を聞くことができました。
 さて、冬の間「チャッ、チャッ」「ジャ、ジャ」という地鳴き(call)をしていたウグイスが春になるとなぜさえずり(song)始めるのでしょう?その答えとしては、日長の変化で昼が長くなったことで雄性ホルモンが分泌されるためとか聞いたことがあるが、それではそのさえずりにはどのような気持ちが込められているのでしょう?
松田道生(著)『鳥はなぜ鳴く? ホーホケキョの科学』に次の問題が載っていたので考えてみてもらいたい。

(問)ウグイスはどんな気持ちのときに「ホーホケキョ」と鳴くのでしょう?
   ① どうだ、オレは強いんだぞ!
   ② こっちに入ってくるなよ!
   ③ 大好きだよ、結婚して!

答えは、ぜんぶ。理由をもっと詳しく知りたいと思った方は、ぜひ上記の書籍を読んでウグイスの不思議の世界にどっぷりとはまってみてもらいたい。

2 ウグイスの鳴き声
(1)さえずり:2月~8月「ホーホケキョ」、「キョキョキョキョキョ」など

動画:さえずり「ホーホケキョ」 2020年4月7日 北本自然観察公園にて
  ウグイスは「ホーホケキョ」以外にもいろいろな鳴き方を持っていて、そのひとつが「ウグイスの谷渡り」と言われるさえずりである。特徴は大きな声から始まって、だんだん小さくなっていくことが多いので、ウグイスが谷を渡っていくように聞こえたことから名付けられたようだ。ここでは約60秒近く谷渡りを披露してくれている。

  録音:さえずり「谷渡り」 2019年6月14日 北本自然観察公園にて
  59秒
(2)地鳴き:「チャッ、チャッ」「ジャ、ジャ」
地鳴きとは、日常会話ともいえる鳴き方で、仲間同士の確認や警戒、飛び立つ時の掛け声といったいろいろな意味がある声のことである。
ウグイスの地鳴きは「笹鳴き」と特別に呼ばれることがある。その理由は、ウグイスは笹藪を好み、地鳴きがよく笹藪の中から聞こえてくるからである。そのため私たちはこの地鳴きを聞いただけでウグイスがいることがわかる。私が探鳥会に通い出したころ、最初に教えていただいた地鳴きはウグイスの笹鳴きであった。

  録音:地鳴き「笹鳴き」 2019年8月27日 福島県尾瀬沼にて
   41秒
 3 ネットで「日本野鳥の会・ウグイス」と検索してみたら
日本野鳥の会「BIRD FAN」https://www.birdfan.net/pg/kind/ord17/fam1713/spe171301/ には写真や動画(鳴き声の声紋など)が用意されているのでぜひご覧ください。

下の2枚の写真は、群馬県赤城山麓覚満淵で(2017年6月24日)、ウグイスが珍しく藪から出てきてポーズしてくれたところを撮ったもの。
参考資料
 『鳥はなぜ鳴く? ホーホケキョの科学』 松田道生(著) 理論社 2019年
 『歌う鳥のキモチ』 石塚 徹(著) 山と渓谷社 2017年
 『日本の野鳥 さえずり 地鳴き図鑑』 植田睦之(監修) メイツ出版 2014年
 『雑誌 BIRDER 2020年5月号』 特集:日本三鳴鳥 文一総合出版

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